先日、慶應大学のメディアコミュニケーション研究所の授業で学生の前で話をする機会がありました。
講義終了後ある学生から、「ソーシャルメディアを企業が使う際、例えばフェイスブックの“いいね”数が直接利益につながるわけでもない。効果測定とか成果、評価の判断は何なのか?」という質問がでました。
私の話の主旨は、ソーシャルメディアの利用が社会的に活発になると、それを効果的に活用できた企業は、顧客とのコミュニケーションの効率が大きく向上するチャンスがある。というものでしたが、あらためてのこの質問に、「成果があった」とは一体それはどういう状態の事をいうのか? どういうことに留意すれば「成果」が実感できるのか? 今一度考えてみるきっかけになりました。
私の考えはこうです。
ソーシャルメディア、この場合はとりあえず、フェイスブックとツイッターを想定していますが、企業活用において一番大切なことは、活用する企業が行なうべき課題抽出と目的設定の明確化なのです。
つまりソーシャルメディアを活用することで、企業として今までのマーケティング活動では困難であったこのような課題を解決したいなど、その企業独自の具体的な目標を設定します。
そしてその課題を解決するためには、例えば、“いいね”や“リツイート”を駆使して自社のホームページへのアクセスを増やすことが重要なのか、フォロワーや購読者を増やすことで定期的に(メルマガのように)情報発信すればいいのか、店舗や自社製品の応援団を作ってそこを活性化させることが大切なのか、または企業内では解決しがたいある課題についてソーシャルメディア利用者達の生々しい意見が欲しいのか、顧客と日常的に親しく情報交換がしたいのか、などなどです。
今までのマスメディアの活用を主体とした消費者とのコミュニケーションでは、構造的にも費用的に困難であったし、また出来ても成果が可視化しにくかった課題解決が、ソーシャルメディアを活用すると、比較的に実施できるし、成果も見えやすい。
冒頭の質問の中の直接利益というものは勿論企業によって様々ですが、販売数を上げたいのであれば販促にソーシャルメディアを使えばいいし、ユーザーの声を知りたければリサーチに使えばいい。大切なのは、目的の設定と、成果の読み方だということです。
学生の皆さん、最後まで熱心に聴いてくれてありがとう。私も大いにインスパイアされました。