Apple Musicの至福と気がかりと

Appleが始めた音楽配信サービス、Apple Misicを利用している。月々980円でApple Musicのライブラリーのなかの曲が聴き放題。サービス登録時に自分の好みのジャンルやアーティストをピックアップしておけば、ユーザーの好きそうな楽曲をApple Musicが毎日レコメンドして配信してくれるというもの。私の場合、長年聴いてきたポストパンクとオルタナ系のロックと、モダンジャズを中心に、好きなアーティストをどんどんと登録していったところ、毎日とても快適な選曲を楽しむことができている。

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Apple Musicからレコメンドされたプレイリストには、それぞれ中々そそるタイトルが付けられている。たとえば本日更新されたプレイリストを見てみると、「集中したいときのピアノジャズ」、「ゆっくり過ごしたい時に聴きたいオルタナ集」、「ルー・リードに影響をうけたサウンド」、「マイルス。デイビス~エレクトリック時代~が与えた影響」、「ワインとチーズとそしてジャズのあるひととき」など。自分にとって馴染みの深い曲、またアーティストは知っていても初めて聴くテイク、そして新たな気づきとなる未知のアーティストや楽曲。それらがいい塩梅でミックスされている。リアルタイムのヒットチャートや人気のアーティストを中心に聴く人にとって、Apple Musicの日々のレコメンドの満足度がどれほど高いかは正直分からないのだが、自分のような、1950年代のジャズから、1990年代のポストパンクの時代までを核にそこから派生する音楽に四六時中浸かっていたい人種にとってはまことに有難いサービスだと感心している。そしてJ-POPファンのユーザー満足度も聞いてみたいものだ。

繰り返しになるが、Apple Musicについて、リスナーとしての満足度は私にとっては相当高い。自分のアイフォンやアイポッドのライブラリーには聴ききれないほどの楽曲が入っていても、いつも聴く曲は結局同じようなものになってしまうとか、車の中でなんとなく聴くアルバムやアーティストを中々決められないなどという不満が、すっと解消される。素敵なサービスだ。これで、月々980円は安い。980円といえば、ダウンロードで曲を大体4曲買える。CD1枚は買えない。私のように毎月アマゾンやタワーレコードでなんとなくCDを買っていた音楽好きのお金の使い方を変える力があると思う。

つまり、CDを買わなくなると思うのだ。ジャズの名盤CDやコンピレーションアルバム、また青春を一緒に歩んできたオールドロック。レコード盤は持っているけどCDはもっていないなんていうアルバムも、もう買わないだろう。音楽のダウンロード購入に消極的な日本の音楽市場、そしてCDを買う行為自体が大好きな中年音楽ファンが、いよいよCD離れというワールドスタンダードの仲間入りをする予感がする。Apple Music以降のアーティストやレコード会社の変革はいかなるものか?不安でもあり、楽しみでもある。